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            講道館柔道 対 アド・サンテル
                    
                      


             

                  永田 対 サンテル

ゴングが鳴って1本目。
当時、雑誌、「野球界」の観戦記はこう書いている。

「サンテル突き頭で永田を倒して、横四方固めの突込み絞め。
 ついで、十字絞りとかわり、永田がうしろに回り、送り襟絞めを
 かけんとしたがきかず、サンテルを十字固めで攻めたまま
 規定の時間が経過して引き分けとなる。」

また、永田三段が当時を回想した文章によると

「1回戦。いくら投げても勝てない試合だ。
 ちょっとお付き合い立って、また寝た。
 ここぞとばかり脇固めにしがみついたが、サンテルの
 予想より物凄い怪力を満喫したのみで引き分けた。
 この間さかんに写真班のフラッシュが爆発した。
 義足の児玉先生がとんで来た。
 
「永田、投げろ、投げろ」と二言叱咤された」

と書いている。双方、多少のゆとりを残して1本目である。

5分間の休憩のあとの2本目。
永田の投げが見事にきまるが、これは判定の材料にはならない。

サンテルは四つんばいになり、寝技にさそうが、永田はのらない。
そんな攻防のあと、サンテルはいきなり永田の首をかかえ込んだ。

プロレス流でいうヘッドロックである。

始めは首をすくめて2、3回抜いたが、サンテルは、
こんどは襟をつかんで絞めあげた。

もう抜けない。

レフリーの目をのがれて、サンテルの太い腕はのどに食い込む。
完全なチョーク。ルールで「反則」ときめてある技である。

レフリーの注意を期待しながら、永田は必死に耐える。

サンテルはプロレスラーである。
それを承知で、グイグイとローリングをかける。
アメリカでは牛の首を絞め落としたと豪語する怪力のフル回転だ。

 
  次回へつづく


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