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               講道館柔道 対 アド・サンテル
                    
                         
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                  永田 対 サンテル

永田の首はしびれ、鈍痛が走る。
リング下から児玉が「永田、大丈夫か、大丈夫かッ」と叫びあげる。

この声を必死にきいて、永田は最後の手段、サンテルの尾テイ骨を
膝で思い切り垂直に蹴り上げた。

「オオーッ」と、ヘッドロックが外れた。

「タイム!」と叫んだ永田は、今の首絞めが反則であることを
レフリーに抗議した。

レフリーはサブと、打ち合わせたあと、サッと永田の右手をあげた。

柔道の当て身とともに、プロレスの首の逆わざや、頭部をくじくことは
反則とされていたからだ。

折角、一本を勝ったものの、もう永田の首は曲がったまま
もとにもどらなかった。

とても試合の続行は不可能である。
三本目は試合放棄と見なされて、サンテルの右手が上がった。

1対1の引き分けが宣せられたのだ。

翌日の新聞は、サンテルと引き分けた永田を英雄のようにあつかっていた。
しかし当の永田はもう起きることも出来なかった。

第二日目は、翌日3月6日、天候もこの試合に味方して
抜けるような青い空をプレゼントしてくれた。

入りも完全に前日を上回った。
ウエーバーには清水三段、サンテルには庄司三段が当たることが
もう前の日に発表になっていた。

 
  次回へつづく


         
             
  

 

                    

 

 

     

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