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            講道館柔道 対 アド・サンテル
                    
                        
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        清水 対 ウエーバー

レフリーは、昨日の永田・サンテル戦の言葉の不自由さにこりて
主審、副審とも日本人がついて、試合は2時2分にゴングとなった。

清水は児玉道場では、随一の技師で鳴らし、強さも増田を上回る。
だから期待できる一戦だった。

1本目、案の定、清水はつり込み腰からバックに回って送り襟。
こうしてウエーバーの右腕をピタリときめて勝った。

児玉が思わず「やった!」と叫んだほどの見事な逆技だった。

5分3秒。

2本目は、実力の差を知ってか、ウエーバーのしりごみが目立つ。
投げられるのを逃げ、寝技に逃げて時間をかせぐ。

そのうちに長い右手で襟を取って来たのを、清水は反転して
十字固めで攻めつける。

たまらずウエーバー、ギブアップの合図を送る。

13分10秒。

あざやかな日本の制勝である。

見物にとってこれほど小気味よく、胸のすく光景はない。
よろこびの声が九段の杜にこだました。

さて、次は、いよいよ注目のサンテル対庄司である。

この一番こそ大会のメーンエベントであり、ハイライトである。
柔道に関心のある者なら、借金を質においても見なくてはならない。

昨日、引き分けた永田も、とても気になって寝ておられず
首や手足の包帯を、和服、つりがねマント、襟まきという
季節外れの服装でかくして、人目につかない会場の隅で
ジーッと見つめていた。

 
  次回へつづく


 

                    

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