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            講道館柔道 対 アド・サンテル
                    
                          
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       続 庄司 対 サンテル


サンテルの満面は朱にそまって仁王のようだ。

反対に庄司の顔色は蒼白だ。
スタミナの差がありありと出ている。

庄司は得意の跳ね腰で、からくもサンテルを投げたが
もう迫力がなく、自分もよろめき倒れる。

サンテルは「しめた」と足をとる。

逃げる庄司。

立った瞬間、こんどは逆にサンテルが巴投げを仕掛ける。

庄司大きく飛ぶ。

サンテルの巴投げは初めて見せた技。
秘密兵器のようだ。
また巴投げ、そしてもう一つ巴投げ。

みなあざやかにきまる。

あせる庄司を強引に寝技に引き込んで、強力な十字固め。

庄司ピンチ。

左右の手をおがむように組んで、必死に頑張る。
危ない、まったく危ない。

客席は息をのんで、手に汗にぎる。

庄司に幸いしたことは、サンテルの十字固めが、肘関節を攻めたことだ。

もし、サンテルが本当に柔道の達人ならば、
そうした力のロスはさけたろう。

真っ赤になってこらえる庄司。

腕が・・・・・・庄司の腕がサンテルの固めを必死に外して
グーッと伸びたとき終了のゴングが鳴った。

ああ、ついに庄司は、死力をつくして、引き分けに持ち込み得たのである。
あと、3分時間が残っていたら庄司は負けていたかもしれないのだ。

ともかく、こうして、サンテル迎撃戦は、日本柔道の面目を
かろうじて守りきったのである。

庄司以下四選手は、講道館から破門され、まったく泣き面に
ハチの目にあったが、のち復帰を許され、庄司は七段になった。

 
  次回、最終回の後日談へつづく


 

                         

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